登山ストリーミング・ビデオの可能性?

今朝見たBloomberg BusinessにWhy Is Amazon Livestreaming Julia Child and Bob Ross?(なぜアマゾンはジュリア・チャイルズとボブ・ロスのライブ・ストリーミング配信するのか)という記事が出ていて、興味深く読んだ。

ジュリア・チャイルド(1912~2004)は、第二次世界大戦直後に外交官の夫とパリに住み、料理を勉強してアメリカにフランス料理の素晴らしさを紹介し、また、料理には新鮮な食材を用いるよう提案した「アメリカ料理の母」と言われる人。「素晴らしい料理とか、複雑な料理を作る必要はない。新鮮な素材があれば美味しい料理ができるもの」というのが口癖だったという。3つほどテレビ料理ショーを放映していてアメリカの女性には知れ渡った存在なのだ。メリル・ストリープがジュリアを演じた映画「ジュリー&ジュリア(Julie and Julia)」で見た人もいるかも。3年前の生誕百年のときには全米のレストラン100店舗では「ジュリア・チャイルド・レストラン・ウィーク」を開催するなど盛り上がった。そのときの記事はこれ。スミス・カレッジ(マサチューセッツ州西部の名門女子大ですね)を卒業後、現在の米中央情報局(CIA)の前身にあたる戦略情報局(OSS)にタイピスト兼研究員として務め、スリランカと中国に派遣されたことがあった。この時代の外国滞在経験がジュリアの味覚を豊かにしたことは明らかなことだろう。異質なものとの出会いが創造を促すのですな。

ボブ・ロス(1942~1995)は、「ボブ・ロス画法」と呼ばれる油彩の画法を紹介し、テレビ番組「ボブの絵画教室The Joy of Painting」で有名になった人。80年代に番組と連携したハウツーものとしてアメリカの本屋に平積みになっていた記憶がある。この番組は90年代にNHKでも放送されていたみたい。ぼくは全然知らなかったけれど。

映像コンテンツは音楽、ゲームなどスティッキー(懐かしい用語ですな。人気があってそのサービスの固定的なファンとなるような)なコンテンツのデファクトな(これまた懐かしい。その市場の標準・勝ち組となる、ということ)サービス・ブランドとなる競争が激化している、という背景があって、アルファベット(グーグルなどの持株会社)傘下のYouTubeがこの世界で先行していたのは皆さんご存知のとおり。アマゾンが2014年にTwitchを10億ドルで買収してビデオストリーミングのビジネスに参入、さらにこのビジネスを強化するためTwitchクリエーティブというサービスを投入して、それまで中心だったゲーマーのオーディエンス(当然男性が9割)から、アーチスト、ミュージシャン及びシェフの人たちの支持も獲得しようとしている、というわけだ。ジュリアとボブのコンテンツで、料理や絵画の好きな女性が多く参加してくれることを狙っているのも当然だ。

料理する=Cookという言葉は、「手に入る素材をどのように確保して、どのような場面にどんな味わいで提供するか」という創造活動全般に適したコンセプト・ワード。田中陽希さんのアドベンチャートレールがあれほどの人気があるのも、「うまい人はどうやって対象とするトレイルを料理するんだろう?」という好奇心から。マイルス・デイビスの1950年代プレスティッジ4部作にはCookin’ With the Miles Davis Quintetがありますな。ジャズも素材(原曲)をどんな味付け(メロディ、和声、リズム、プラス、インプロヴィゼーション)で仕上げるか。絵画も、ぼくは素人ではあるけれど、写実性、明暗、光沢、密度、等々から一つの作品を作るという点で同じ。昨年のボブの誕生日(10月29日)にはボブの絵画教室コンテンツを延々200時間(30分番組の400コマ)も流しており、この「お絵かき実況チャンネル」に5万人も視聴者が集まっている。スティッキーだよね。

では、登山コンテンツがストリーミング・ビデオで脚光を浴びるようになるのか?

登山口以降の登山ルートの前段階として、ぼくはすでにアプローチのクネクネ狭隘林道のリサーチで何回か利用させてもらって助かっている。奥茶臼山(2,474m)登山口のしらびそ峠までの下栗の里からの林道の状況だとか、ね。また、登山口からのアクションについても、例えば田中陽希さんの日本百名山、二百名山ひと筆書きを見れば、彼のそれぞれの山のCookin’の味付けの様子を一部始終見られる魅力は上述のボブのお絵かきと同じではないか。さらには学ぶという点で、教則本よりもビデオ・コンテンツの方が情報量が多いことも有利。山岳ガイドさんが要らなくなってしまうのではないかということもあるけれど、3.11の際に既存メディアが殆ど報道しなかった事実を中継市民ボランティアが中継放送したことなども含めて、情報の民主化の点でも重要な流れだと思うこの頃です。一方で、多種多様なコンテンツの真贋を見極め、自分の力量に見合ったコンテンツを利用する能力を磨くことが、さらに大事になってくるのは当然のことだと思う。誰でも簡単に田中陽希さんになれるとは思わないよね。

「登山ストリーミング・ビデオの可能性?」への2件のフィードバック

  1. もしかしたら、このブログの初コメントかな?
    音楽の方は、とんと分かりません。子どものころから「音が苦」の方でしたので・・・。
    山楽だけはお付き合いできます。
    ストーリミング・ビデオ、初めて目にしました。こんなのもあるのですね。
    奥茶岳、しらびそ峠・・・懐かしいです。このブログのお陰で、自分の登った時の記録を開いてみては、懐かしく思いだしています。

    お気入りリンク、確認しました。ありがとうございます。
    拙ブログでは、あまりにも多すぎて対応していません。お返しができなくて申し訳ございませんが、たまにお邪魔させていただきます。

    1. sakag さん。
      コメントありがとうございます。
      Happy山楽!よろしくお願いします。

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